眠れない夜のための羊毛と閑話

悪徳羊毛作家・フェルト侍のブログです。大っぴらにはできない話を小声で叫ぶためにwebに掘った暗い穴。麦が生えなきゃいいんですが。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

鳥達が卒業写真を撮って欲しいというので付き合ってみた

皆様こんにちは、羊毛で野鳥フィギュアを制作しています
フェルト侍と申します。

作品と共に、
さまざまなエピソードも生まれるもので
このブログでも時折ご紹介させていただいております

※この話はフィクションであり
 実在する人物および団体には
 一部しか関係しません。


さて、話は少し前に遡ります。



・・・・



今日は楽しい代休日!
そんなある月曜日のことです。




「今頃はみんな、アクセク働いているころかのう・・・ククッ」
そうほくそ笑みながら
フェルト侍は寝間着のまま、優雅に午後を過ごしておりました。

まったりと焼酎コレクションの飲み比べなどしていると

「もうし、もうし。」
一升瓶の間から呼ぶ声がする。

RIMG2673_20130121160016.jpg「申し、フェルト侍殿。」

薩摩白波の影から現れたのは、
セグロセキレイさんじゃないか。

「もうし、フェルト侍殿は暇がおありか?
 さすれば、頼みごとのありて候。」

「う~ん、ちょっと今忙しいんだけど、何?」

「拙者、ご奉公先の決まりし身ゆえ、
 数日内には同期の方々とも離れ離れになろうかと。
 その前に、皆で きねんしゃしんを撮りたいのでござる。」


・・・同期と記念写真かぁ。

同期というのは、この場合、自分が同時期に制作した鳥達のことと思われます。

販売先が決まるまで、
同じ部屋の棚にまとめて並べているのですが
その間に、作品同士で勝手に連帯感を強めているようなのです。

同期や同級生に独特のノスタルジーを感じるのは
なにも人間に限ったことではないのですね。

鳥達の気持ちがわからないではないので
近所の公園で写真を撮ってやることにしました。

RIMG2669.jpg「はーいみんな並んで~!」カシャ。
こうしてみると、皆で集まるのも確かにこれが最後か。
残る子もいますが、行き先の決まった子がほとんどです。
RIMG2672.jpg「ねえ、みんなで歌を歌おうよ!」
センチメンタルなことを言い出すイカル君。
みんな注目するじゃないか。
RIMG2664.jpg「うん、歌おう歌おう!何にする?」
鳥達は色めき立って、何を歌うか一斉に相談し始めました。
ことりはとってもうたがすき、って童謡は本当だったんですね。

何を歌うのかな?
作者としてリクエストしていいなら、
ファンモンの「サヨナラじゃない」がいいな・・・と提案したかったんですが
RIMG2666.jpg「ちょっと!人間さんは遠慮してくれる?」
ルリビタキの奥さんにジロリと睨まれてしまいました。

すいません、気がきかなくて・・・と小さくなる自分。
美人の人妻には弱い。

少し離れて見守っていましたら、
曲が決まったようです。

風に乗って、鳥達のコーラスが聞こえてきました。
RIMG2663.jpg

「♪こーいーびとーよー
  ぼくはたーびだーつー
  ひがーしへーとむかーうれっしゃーでー♪」





・・・なんでそんな昭和なんだ君たち・・・!

思わず脱力してしまった作者をよそに
鳥達は冷たい冬空に向かっていつまでも歌い続けていました。

やがて辺りは暗くなり
全員を箱に入れ、連れて帰ったのですが
みな一様に満足げな顔をしていました。

それぞれの場所に飛び立つ前に、
思い出作りを手伝ってやれたのかもしれません。




にほんブログ村 鳥ブログ 野鳥へ
にほんブログ村

あとでウソ♀に聞いたら、ラジオでオンエアされてた
柴田淳のカバーバージョン→★で覚えたとか言ってましたけどね。
ふーん。
it-50b8a1e354577-640.jpg 販売中/ウソ ♀ 




にほんブログ村 ハンドメイドブログ 羊毛フェルト(マスコット以外)へ
にほんブログ村

コメントの返事ができなかった方、申し訳ありませんでした!
これからはバリバリ返信しますので!!
スポンサーサイト
  1. 2013/01/21(月) 18:00:00|
  2. フィクションです
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

ある日、羊男の訪問を受けてしまったら?

極々一部でファンがいるらしい、
フェルト侍の物語(妄想ともいう)シリーズ。




長いのでお茶でも淹れて、マッタリ読んでください。




この記事はフィクションです。実在の人物・
団体等には一部しか関係ありません。


【登場人物紹介】

koride-ru_convert_20120330163952.jpg コリデール:光沢があり万能選手的な毛質が特徴。

メリノ メリノ:羊毛の中で一番の細さを持ち短毛。脂分が多いのが特徴ではある。

imagesCAZ2TTTY.jpg ロムニー:よく縮絨するしっかりした手ごたえのある毛。

1301318369_convert_20120330164853.jpg フェルト侍。あくまでイメージ。



【3月30日】

基本的に、フェルト侍の住処に客人はあまりいません。

たまに、J:comさんが工事に来るぐらいです。

しかしごく稀に、思いもよらぬ珍客の訪問があったりするのです・・・。




ある気持ちのよい3月の夕べ、
フェルト侍が部屋に篭りギャルゲーなどしておりますと、

「ほと、ほと」
と、
引き戸を叩くものがありました。

「チッ、誰だよ…詩織とのデートを邪魔する奴は?」

舌打ちをしつつ引き戸を引くと、
そこには
大柄な羊男が三人、思いつめた表情で突っ立ていました。



(ムラカミハルキ的世界がニガテな方はスルーして下さいます様)



真ん中の、年かさの羊男が口を開きました。

「あんたがフェルト侍さん?
 急に押しかけて悪いね…。
 俺達、あんたに話があったもんでね・・・オーストラリアから来ちまったんだ」

突然とはいえ、羊男が訪ねてきたとあっては
迎えないわけにはいきません。

「そ、そうですか…、と、とりあえず上がってもらいましょうか…」

むろん羊男の訪問なんて初めてですが
なるべく平静を装って部屋に招き入れました。




四畳半の畳の部屋に、
ガタイの大きな三人の羊男と、正坐で向かい合います。
もともと狭い部屋が、一気に息苦しくなります。

年かさの羊男が、紙包みを差し出してきました。
「これ、つまんねえもんだけど、地元の銘菓の“ヒツジ羊羹”だ…」

「あっこれは気を使わせちゃって…どうも。
 いや、あの、話があるなら、きっ、聞きますけど…」 

「そんなに畏まらんでくれ、フェルト侍さん。
 あんたにどうこう言いたいわけじゃねえ。

 前から何とかして、人間さんと話を付けたい…って俺達思っててね…
 こいつが…メリノが(と、斜め後ろの若い羊男を顎でしゃくりました)
 コンピューターなんかが好きなもんでね。

 あんたのブログを見つけて、
 この人に話してみようってことになったのさ。」 
 
 メリノと呼ばれた若い羊男は、
 額に脂を滲ませてコクコクと頷きました。
 小脇には、大事そうにiPadを抱えています。




「話っていうのはこうだ…。
 俺達は、ずっとオーストラリアで羊やってきた・・・。
 ニュージーランドに親戚もいっぱいいる。
 爺さんの爺さんの、そのまた爺さんのもっと昔から、
 人間さん達とはやってきたつもりだ。

 だけどこの頃、どうも俺達と人間さん達、うまくかみ合ってないような気がするんだ。」

 「え・・・それってどうゆう・・・」




その時、もう一人の、ひときわ大きな身体つきの羊男が声を張り上げました。

「そんなまどろっこしい言い方じゃ、
 この人に伝わらねぇよ、コリデール!!

 ハッキリ言やぁいいじゃねえか!!

 ・・・・羊毛の売買価格が、安すぎンだよ!!」

「お前は黙ってろ、ロムニー」年かさの羊男がたしなめます。

「コリデールは口惜しくねえのかよ!!」ますます激昂する縮れ毛の羊男。

「お前も、メリノのパソコンで見ただろ?
 俺達の、俺達の毛が信じられない安い値段で取引されてるんだぜ?
 
 俺達は牧羊犬がいつキレるかビクビクしながら、
 やっと伸びた毛をムリヤリ押さえつけられてバリカンあてられて、
 体張って人間どもにコートを提供してるんだぜ?!

 その結果が、こんなやっすい取引かよ!!
 牧羊業者だって、採算割れで泣いてらぁ!!」

縮れ毛の羊男が大声でまくしたてる勢いに、目を白黒させるフェルト侍。

 「いいか、フェルト侍とやら!
  人間どもは忘れちまった!
  羊毛は安い化学繊維とは違うんだ!
  
  羊は生きてんだ!!
  お前らとおんなじ、血が通ってんだよ!!」

その羊男は、うずくまるとさめざめと泣きだしました。

・・・なんか熱い奴だなぁ。オーストラリアの国民性かなぁ。




その様子を眺めていた、コリデールと呼ばれた羊男が口を開きました、

「騒ぎ立ててスマンね、フェルト侍さん。
 だがロムニーが言ったことは、ある意味本当でね…

 この20年間、やめていく羊飼い達は結構増えてるんだ…
 こんな羊毛が安く扱われてんじゃ、やってけないんだろうな。
 
 …1990年の世界の羊毛生産量は340万トンだった。
 羊毛の比重を知ってても、想像つかねえ量だろ。
 
 だけど、おととしの生産量はどれぐらいだと思う?

 200万トン、3分の2以下さ…。
 ちょっとびっくりするだろ?」

そっ、そうですね…。ていうか、全然考えたことありませんでした。




 「このままじゃ、羊毛産業は廃れちまうかもしれねぇな。
  
  人間さん達とは、8千年、いや一万年の付き合いかもしれねぇって言うのにな…

  …あのよ、フェルト侍さん。
  あんたのブログで、ちょっと人間さんに伝えてほしいんだ。」

いつの間にか、コリデール、メリノ、ロムニーの三人の羊男に
にじり寄られています。なんという圧迫感だ。

 



 「俺達はアタマが悪いから、偉いことは何も言えねぇ。
  たださ、ただ…
  人間さん達が羊毛を売ったり買ったりするときにはさ。
  
  俺達の気持ちっていうか…
  ちょっぴり、考えてほしいんだ。

  あんたが安く買ってるセーターや手袋、
  それからフェルト用の羊毛だって、元々は一匹の羊のものだったんだって事をさ…」


・・・・


ひとしきり話し終えると、三人の羊男は立ち上がりました。

「じゃあ、確かに頼んだぜ…クニに帰るとすらぁ」
泣きはらした目で微笑む、熱い羊男ロムニー。

どこからか、霧のような煙のような白いスモークがモクモクと湧いてきて、
羊男たちはその中に足を踏み入れました。  

そんな、こちらのイエスノーも聞かずに!
と呼びとめる暇もなく、羊男たちの姿は濃い霧の中に消えていきます。

メリノと呼ばれていた若い羊男が、
こちらを振り返りながら、何度もペコペコと頭を下げているのがボンヤリと見えました。
君ら、オーストラリア育ちのくせになんでそんなOjigiが上手いんだ…。


・・・・


そんなわけで、
こうしてブログ記事にしておきます。

セーターなんてバーゲンで買って、
古くなったら捨てようと思ってましたが
ちょっと改めようと思いました。

それにニードルフェルティングのテクニックがあれば、
虫食いの穴だって自分で修繕できますもんね。




羊男が今度訪ねてきたら、
sakeでも出そうと思っています。
              <おわり>
                  参考文献:ヒツジパレット2012京都 公式カタログ
                           クリエイティブフェルト協会 サンプルフェルト・プロジェクト


にほんブログ村 その他日記ブログ 妄想へ

にほんブログ村 その他日記ブログ 匠・職人日記へ

にほんブログ村 サラリーマン日記ブログ 平凡サラリーマンへ

  1. 2012/03/30(金) 19:32:31|
  2. フィクションです
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:18

エナガ兄弟・巣立ち篇

この記事はフィクションであり、実在の人物・
団体等には一部しか関係しません。


登場人物紹介:

030_convert_20120306220439.jpg エナガ兄。先にできた

024_convert_20120306220717.jpg エナガ弟。後でできた

ad_main_12spring_o_convert_20120306220857.jpg 制作者。あくまでイメージ

018_convert_20120306221121.jpg iichiではなぜか売れない「アカネコさん」。


・・・・


このあたりではめずらしく、
真っ白な雪がうっすら積もった寒い朝
エナガの兄弟は生まれました。

「やっとできた…」
“フェルトさむらい”は、ニードルを持った手を下ろします。




首をさすりながら二羽を眺めていますと
だしぬけに

「サーセン、俺ら、デビュー先とかって決まってんスか?」

兄エナガが口を開きました。

同じフェルトでもうさぎとは違って、
小鳥たちは口が達者なようです。

フェルトさむらいは少し驚きましたが、
顔にはこれっぽっちも出さず、
落ち着き払って答えました。

「うむ、君らには iichiという所に出てもらう。
 その後はわかっているね、どこかのお宅へご奉公に行くのだ。」

兄エナガは責任感の強そうな顔立ちをしています。
030_convert_20120306220439.jpg

「それでぶっちゃけ、値段はナンボなんスか?」
「税込 8500 円だ。」

弟エナガがおそるおそる尋ねました。
024_convert_20120306220717.jpg
「それって、コンビですか、ピンですか?」
「むろんピンだ。」 

エナガ達は顔を見合わせました。
今までの仲間たちとはずいぶん差のある値段だったからです。

フェルトさむらいは少し微笑んで、
エナガ達に言いました。
ad_main_12spring_o_convert_20120306220857.jpg

「驚いたかい。実は自分でもずいぶん迷ったんだよ。

 でも、君らの仲間を増やし続けるには、どうしても必要な事なんだ。
 君たちには、鳥であるだけじゃなく、
 ある意味、工芸品として・・・アートとしてあって欲しい。」

そしてフェルトさむらいは時計に目をやると、
「おっもうこんな時間か」
と独りごちて、銀ぴかのスーツケースを持ってバタバタと部屋を出て行きました。


後には、二羽が残されました。
017_convert_20120306224906.jpg



「アートやて、お兄ちゃん…。」
弟エナガは不安そうな声で兄エナガに言いました。

「オイ、デビューしたらお兄ちゃん呼ぶな言うたやろ」
「あ、ゴメンお兄ちゃん。
 せやけど僕ら、ピンで8500円やなんて、
 迎えてくれるおうちがあるんやろか…」

兄エナガは考え込みました。

数時間の差ではありますが、先に生まれた以上は
兄というものは弟よりしっかりしなくてはいけないのです。

030_convert_20120306220439.jpg
「そうや、あの人に相談しよう!
 今から挨拶に行くで!」




あの人。
018_convert_20120306221121.jpg

“アカネコさん”は第一次 iichi 登録部隊の生き残りであり、
ヤフオクも含め、今までの仲間の入れ替わりをそのマナコで見ています。

いわば 「samurai_felt」 の生き証人なのでした。




「サーセン、アカネコさん・・・」
022_convert_20120306230614.jpg

アカネコさんはゆっくりと振り返りました。
エナガ達に比べると、大木のような足です。

「あの、僕、今度 iichiにデビューが決まったエナガ3号です。
 こっちは相方の4号。」

弟エナガも、ペコリと頭を下げます。

「それで、なんか僕ら、ピンで8500円いうことなんスけど…
 正直、僕らみたいなもんが、
 そんな値段でいってええんかな?って。
 
 アカネコさん、この業界長いじゃないスか。
 挨拶兼ねて、相談に来たんス…」




ギロリ、とアカネコさんは二羽を見下ろしました。
031_convert_20120306234212.jpg

鋭い眼光に、弟エナガはすくみ上ります。




「・・・・やってみなはれ。」

野太い声でそれだけ言うと、
アカネコさんは見ていた方向にゆっくりと体の向きを戻しました。

他に何も言う気は無いようです。

二羽はパタパタと元の止まり木に帰りました。




「アカネコさん、怖かったなァ、お兄ちゃん!」
024_convert_20120306220717.jpg

「あの人マジで肚くくってるよな…
 俺らも覚悟決めなあかんな」
029_convert_20120306233958.jpg

兄エナガには何か決意のようなものが芽生えたようです。

「ウン、頑張ろな!お兄ちゃん!」



・・・それからひと月もたたないうちに、それぞれ巣立つことになるなんて、
その時の二羽にはまったくわからなかったのでした。


                   

                       <おわり>

My iichi shop は今どうなっているの?
そう思われた方はこちら! →★


にほんブログ村 ハンドメイドブログ 羊毛フェルトへ

物語系がお好きでしたらこちらもどうぞ。 →過去の記事★
  1. 2012/03/07(水) 00:00:00|
  2. フィクションです
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

「そんなフェルトならやめちまえ!」~後篇

003_convert_20111217232658.jpg
うさ専用注連縄、出品中!

←黄色いヤフオクバナーをクリック!

<前回までのあらすじ> 前篇はコチラ→★

覚悟していた以上に、ボーナス額の低かったフェルト侍。
「やはり羊毛フェルで自活するのはムリだ…」
そこへ現れた「鬼瓦先輩」が言ったことは…?

この作品はフィクションであり、登場する人物・団体等には
一部しか関係ありません。


・・・・


「お前、やっぱり“残念な奴”やな…」

「え・・それって、どうゆう…」


フオン、とモーターの切れる音がして、
館内の空調が止まりました。

近頃は節電を理由に、
一定の時間には暖房がストップしてしまうのです。




「どんなことでも、結果を出そうと思ったら、
 【覚悟】がいるんや。

 恥かく覚悟、損する覚悟、持ってるもんを失う覚悟がな…

 
 

 俺はお前が仕事をおろそかにしてることを怒ってるんやない。

 査定が悪くなるのはわかってて挑戦したことやろ?

 すぐ落ちやがって…

 覚悟がないんや。

 “残念な奴”いうのは、そういう事や。」




「…そうですね…。」

鬼瓦先輩の一言一言が、胸に刺さりました。

畳み掛けるように、先輩は続けます。




「ほんまに羊毛フェルトで食っていくんやったら、
 なんでもっと必死に売ろうとせえへんねん!?

 受付に頼んで、作品置かせてもろてもエエやないか!
 自分はこんなブログやってますて、社内で言うて回れよ!
 お前の“TUMI”のブリーフケースに、 小鳥のストラップ付けて出勤せんかいや!
 
 【全てのチャンスを逃がすな】って、オレらいつも言うてることと違うんか!」


いつのまにか、胸倉を掴まれていました。

先輩、カオが近いっす…。




「オンドレ(※)の覚悟、見せてみいや…!」




その時、廊下に人の話し声がして、
新入社員が二人通りかかりました。

先輩はパッと手を放すと、ガラリと調子を変えて声をかけます。

「おっ、お前ら飲み行くか?
 クラブ古賀、新しい子入ったらしいぞ」

「えっマジっすか~!行きます行きます!」

顔を輝かせる若者たち。

先輩はコートを取りに、ロッカーを開けに行きました。
自分は胸元を軽く整えて座りなおしますが、
先輩の言葉が頭の中で反響しています…。




覚悟・・・覚悟か・・・




鬼瓦先輩は部屋を出ていく前に、もう一度自分に向き直りました。

「あのな…
 お前、コンテスト…出せよ。
 
 条件がどうのとか、言い訳すんな。

 入賞することも考えるな。

 オマエにしか作れん作品で、審査委員連中のド肝を抜いてやれ。

 “可愛いだけがフェルトじゃない!”

 そうやろ?」



先輩はニヤリと笑うと、コートを背負って部屋を出て行きました。




先輩・・・鬼瓦先輩・・・自分は・・・



体に震えが走りました。

これが武者震いと言われるものなのか…。





単に部屋が寒かっただけかもしれません。
                  <つづく>
009_convert_20111218234144.jpg
うさ専用注連縄、ヤフオク出品中! →★

にほんブログ村 ハンドメイドブログ 羊毛フェルトへ

※「オンドレ」= 関西弁のスラング。
  1. 2011/12/19(月) 20:42:46|
  2. フィクションです
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3

「そんなフェルトならやめちまえ!」 ~前篇

極々一部に熱狂的なファンをもつ、
「先輩シリーズ」 第2弾です。

この作品はフィクションであり、登場する人物・団体等には
一部しか関係ありません。


・・・・

「はあ~…」

人気のないオフィスで、自分はデスクに頬杖をついたまま
ため息を繰り返していました。

目の前には、今月出たばかりの賞与明細。
いわゆるボーナス額が書いてあります。

・・・こんなに低いとは。予想はしてたけど・・・。




「おっ、仕事せん奴がこんな時間まで居てるん、珍しいな!」

不意に後ろから声をかけられて、
慌てて明細を裏返しました。

「…あ、先輩も残業ですか?」

この先輩はクチがわるく、鬼瓦みたいな顔をしていますが、
厳しいだけではない、アツさと意外な面倒見の良さがある人なのです。
(仮に「鬼瓦先輩」と呼ぶことにします)

「ボーナスも出たし、飲みにいくか!
 けど、オマエの今季のボーナス額じゃあ大した店行かれへんけどなっ」




う…っ。
なぜ知っているんだ。

もっとも、
全フロアーの女性といつも軽口を叩いてじゃれ合っている鬼瓦先輩です。

人事の女の子から、自分の査定額を聞き出すことなど
朝飯前でしょう。





そんな考えを見透かすかのように、鼻で笑う先輩。

「フン、ここんとこのお前見てたら誰でもわかるこっちゃ。

 残業はせえへん、会議は上の空や。
 やる気っっちゅうもんがカケラもあらへん。

 それで査定額良かったら、ウチみたいな会社、潰れてしまうわ!」

確かに、この数か月は残業する暇があれば、
速攻帰ってフェルトやってました…。




「ブログもあんだけ更新してりゃ
 企画文書作ってるヒマもないわな!」

「先輩、自分のブログ見てたんですか…!」

うう、最初にFC2の登録方法を教えてもらったのが間違いだった。




「スイマセン、趣味で稼いでいくことの難しさがよくわかりました…。
 来期は性根を入れて、会社に貢献します!」

半ば本気で頭を下げます。

実際、オークション等色々やってみたところで
自活できるには程遠く、
ましてや家族を扶養することなど夢の又夢なのです。

来年度は、フェルトは自粛すべきか…という悩みもあっての、
さっきのため息の連発でした。




先輩は値踏みするようにじっと見下ろしていました。

「オマエ…やっぱり“残念な奴”やな」

「え…」

            <つづく>013_convert_20111218210057.jpg

にほんブログ村 ハンドメイドブログ 羊毛フェルトへ
  1. 2011/12/18(日) 23:18:16|
  2. フィクションです
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
次のページ

プロフィール

フェルト侍

Author:フェルト侍
・・・ 
羊毛フェルト動物人形制作・
samuraifelt.japan主催者。
結構まともなものを作ってます。でも高い。作品と価格はiichiで公開中。
→★コチラ★

渾身の記事ラインナップ

最新コメント

カテゴリ

作品を売る (54)
手作り品販売サイト一覧 (3)
フィクションです (8)
ブログ (69)
アカネコさん (1)
イカル (1)
インテリア (1)
インコ (3)
ウソ (7)
エナガ (19)
オナガ (1)
キビタキ (3)
コサメビタキ (1)
コマドリ (1)
サムライラビット (2)
シジュウカラ (2)
シメ (1)
ストラップ (5)
ジョウビタキ (2)
セキセイインコ (4)
セグロセキレイ (2)
センダイムシクイ (7)
ネザーランドドワーフ (53)
ハクセキレイ (2)
ハハジマメグロ (6)
プリティ-ピンクちゃん (1)
文鳥 (10)
モズ (1)
メジロ (4)
ヤマガラ (3)
ルリビタキ (12)
Ⅹ’masバード (5)
Ⅹ'masうさぎ (11)
未分類 (1)
にしこくん (1)
パンダ (1)
オオルリ (2)
迷走・暴走系 (2)
身辺雑記 (12)

アマゾンはこちらから

株価ボード(β)

探しています

うさぎのS君のオーダーを依頼されたN様へ こちらのメールアドレスを変更したためか、メールが届かないようです。 お手数ですが、ブログに鍵コメントで結構ですのでご連絡おまちしています

思う存分リンクされるがよい

当ブログはリンクフリー、著作権フリーです。ええ、フリーなんです。

リンク

このブログをリンクに追加する

検索フォーム

AD

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。